• テキストサイズ

【短編集】悪役令嬢RTA

第7章 とりかへばや物語り


ヨンナには分からない言葉よね。
「大丈夫。落ち着いたら手紙でも書くわよ」
言うとヨンナは頷く。
「お任せください。必ずや三十歳上の壮年男性を手玉に取って、家のお役に立ちます」

私達は手を握り合う。
―――こうして、私は少ないヨンナの荷物を纏め、幾ばくかのお金を持って朝焼けと共に屋敷を出る。

『サンドラ』が明日の誕生会に関して激しく口論になり、『ヨンナ』を追い出した、と周りには触れ回ってくれる筈だ。
街にでて、朝からやっているカフェで薄いコーヒーを啜り、チラリと見た壁に頃合いよく住み込みの給仕募集の張り紙を見つけ―――。

そこからは慌ただしく毎日が過ぎていった。
お仕事は忙しかったけど、あちらでやっていた企業戦士時代に比べればへいちゃらだ。
風の噂で、『サンドラ』はやはり婚約破棄をされ、妻に先立たれた大分歳上の男性に嫁いだと聞く。

まあ、ヨンナには貴族家に嫁いでも困らない様な教育をしていたから上手くやっているだろう。
私はお店の二階の狭いながら快適な下宿部屋で手紙をしたためる事にした。

―――『拝啓、サンドラお嬢様』。
/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp