第6章 断罪イベントは蜜の味
「これが偽言でないのは、ここにいる当事者の皆様が分かっていると思いましてよ?」
言えば名前の挙がった数名が顔をカッと赤くした。
隣にいる令嬢達は冷ややかな目で紳士達―――ケダモノ達かしら?を見ている。
「もし、心当たりのある方は後日私のお屋敷にいらっしゃって、もうエメリに関わらない、わたくしを貶めたりもしないと宣誓文にサインして下さるなら音声記録をお渡ししますわ」
―――ちなみに音声記録は既に複製し、それぞれの婚約者の令嬢達に今日まで黙って頂いて、と言付けてお渡し済みだ。
帰ったら皆、各々の親からお叱りが飛ぶだろう。
当事者達が声を上げないので、殿下も事態を悟った様だ。
「エメリ……」
隣に立つエメリを見る。
「殿下誤解です。私がこんな事をする筈が無いではありませんか」
慌てるエメリ。
「ではあなた、わたくしの殿下のお手付きだと認めるのね?」
先に私が口を開く。
「ああ何て事でしょう。こんな場で殿下がわたくし以外の女に情けを掛けたと知るなんて……」
目元を押える。
「わ、私は本気で殿下を愛しているのです。又殿下も私を愛していると仰って下さいました!!」
激昂するエメリ。
「わたくしだって殿下を愛しておりました!!」
冷静に述べる私。