第26章 レッドとフリント
「私はな、レッド。ロドスの外勤任務で、色々なものを手に入れたいと思っているんだ」
「色々なもの?」
レッドは不思議そうな顔をして私の顔を見て、ポケットから何かを取り出した。
「フリント、この紙切れ欲しいの?」
「それは龍門弊な」
レッドの事情まではよく知らないが、金の感覚がないようだった。まぁ私も同じようなところにいたし、今更どうと思うこともないが、その紙切れの使い方が分からないんだったら、教えてもいいかもなと思った。
「今度一緒にどこかに出掛けるか? それがあると欲しいものが買えるんだ」
「欲しいもの?」
「そ。レッドはこの任務が終わったら何か欲しいものがあるか?」
「テキサスの尻尾が欲しい」
「それは無理かな……」
と私が言うと、じゃあプロヴァンスの尻尾が欲しいと言い始める。街とか店にはあまり詳しくないが、ここは私がどこかに連れて行った方がいいかもな。
「じゃあ花屋に行こう。いつも種を買っている店があるんだ」
「花?」
「ああ。きっと、テキサスの尻尾みたいな花もあるかもな」
「尻尾、欲しい!」
途端に目を輝かせるレッドに、自分はマズイことを言ったのではないかという気がしてきた。花屋にテキサスの尻尾みたいな花があることを願って置こう。
「あ、目的地が見えてきた。行こう、レッド」
「分かった」
すぐに任務モードに切り替えたレッドの鋭い目。私はそんなレッドの目が、どちらも好きだ。
おしまい