第31章 いつメン2
「こちらの方はアレーンです」
次に紹介したのはアレーンだ。ドクターからは要注意人物だと聞いているが、これといった目立つ言動は見られない。紹介すると愛想良く笑みを浮かべたのも、アレーンの印象がよくなるばかりだ。
「よろしくお願いします、アレーンさん。私はロサよ」
「よろしく」
とロサとアレーンは握手まで交わした。関係は良好そうだ。私は次のメンバーを紹介しようとしたが、ロサがアレーンの前で小首を傾げた。
「アレーンさんって、何かいい香りがするわね。香水でもつけているのかしら?」
とロサがアレーンに聞いたのだ。
もしかしてそれは、アレーンの周りに漂うアーツの香りなのではと私は思ったが、アレーンは動じる様子なく人差し指を口元に当てた。
「ああ、これね。訳あって秘密なんだけど、すぐに分かると思うよ」
そうやって秘密の話をするアレーンは、どこかで見掛けたドクターと話している顔によく似ている気がして私は一瞬警戒した。だがすぐには顔を逸らし、ふらりと私たちから距離を置いた。こちらに向き直って壁に寄りかかるアレーンだったが、目は横を向いている。
「作戦中に香水を使うのでしょうか……?」
ロサは不思議そうな顔をしていたので、あとで説明することにしよう。
「まずはメンバーの紹介をしますね。次は……」
「テンニンカだよ! よろしくね!」
私たちの前にそう言いながら率先して自己紹介に来たのはテンニンカ。