【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
結局、察する事が出来る高順と僑香が部屋に入って来なかったから。
月娘はそのまま壬氏の気が済むまで抱かれたのだった。
ギイッと2人の部屋の扉が開いたのは、それから1刻が過ぎた頃だった。
いつものキラキラした壬氏の腕の中には。
寝具でグルグル巻きにされた月娘が抱かれていた。
「…………………。」
壬氏と比べて、ぐったりしている月娘を見て。
高順と僑香は壬氏のキラキラを払いながら無表情で2人を見ていた。
「月娘が1人じゃ歩けないから、俺が浴槽まで連れて行こう。」
壬氏は月娘に巻き付かれている寝具にキスをしながら、大切そうに月娘を運んだ。
モゾッと月娘が動いて、寝具の隙間から目だけを出して高順と僑香を見た。
『どうにかしてくれる?コレ。』
月娘の無言の訴えは分かったが、どうにもならないと分かっている高順と僑香は目を伏せて首を振るしか無かった。
「……はぁ…どうしたのでしょう…瑞……壬氏様は…。」
月娘を大切そうに抱いて前を歩く壬氏を見て僑香は呟いた。