【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第7章 【R指定】花街に毒の花が咲く③
ちゅっちゅっと、2人がキスをする音が部屋に響いた。
沢山月娘に言いたい事はあるのに、絡みつくキスをやめる事が出来ない。
「う…っ瑞っ……。」
吐息混じりに月娘から名前を呼ばれると、壬氏は薄っすら目を開けて月娘を見た。
そこには普段見ない化粧で、壬氏はやっぱり昼間の競を思い出して月娘から顔を離した。
「そう言う割に、今日は本気だったんじゃ無いか?」
競の場で見上げた月娘は、確かにその状況を楽しんでいた。
彼女は自分が他の男からどんな目で見られているか知っている。
「……ええ…今日は本気でした。」
そう言った月娘に、壬氏は怒りより胸が痛かった。
でもだから、なんで月娘が媚薬なんか用意たのか分かる。
「…お前を見たら、男はこんな薬なんて必要無いよな。」
どんな男でも、たとえ宦官だとしても、月娘を目の前にしたらその情欲を抑えられないと思った。
「媚薬でも食べないと気分が乗らなかったか?」
「…………………。」
その通りだった。
誰に抱かれても良かった。
どうせ一緒に首を刎ねられるだけの仲だったから。
月娘が壬氏以外の男に抱かれようと思っても。
きっとその身体と気持ちも、何も動かないと分かっている。