第1章 悪霊がいっぱい!?
「お金をいただけるとは思ってみませんでした。くれるもんならいただきますとも!」
『2人どちらかの口座番号はわかるか』
「んなわけないっしょ。ここ学校だよ」
「通帳なんて持ってるわけがないじゃん」
『それじゃ、郵送するから住所を』
「えーとねー」
麻衣は期待はずれと言わんばかりの表情で、あたし達の家の住所を口頭で伝えていく。
電話の向こうからはペンを走らせている音が聞こえてくるので、おそらくメモをしているのだろう。
『じゃ、1週間以内に送る。……それと、おまえ達の学校はバイト禁止か?』
「べーつにー」
『そうか。だったらうちの事務所でバイトをしないか?』
「あー、はいは……」
「バイト!?」
『事務なんだが、手がたりないんだ。この間までいた子がやめたんで』
「や、やる!やる!!やる!!」
『結衣は?』
「あ、あたしもやる!」
まさかのバイトのお誘い。
そんな事があるとは思っていなかったし、ちょうど先月やっていたバイトを辞めたばかりなのでちょうど良かった。
『じゃあ一度2人ともこっちに来てくれ。所在地は……』
「書くもの!書くものかしてください!」
麻衣は慌てて事務員のお姉さんから書くものを借り、そこに所在地を書いていく。
渋谷区 道玄坂と。
『都合のいい日でかまわないが』
「えっえっと、いつがいいかな結衣」
「明後日は?」
「じゃ、あさって!土曜日!」
『わかった。時間は麻衣と結衣の都合にあわせる。……ああ、それからこの間は助かった。ありがとう。それじゃ土曜日に』
「うんっ。土曜日にまたね!」
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ー数日後ー
あれから、あたしと麻衣は『渋谷サイキック・リサーチ』でバイトをすることになった。
お給料の額にかなり驚いたが、かなり良いバイト先となっている。
お給料もそうだが、麻衣にとってはかなり。
(いいよねぇ。好きな人が同じ職場なんてさ……あたしなんて何処にいるのかまた会えるのかなんて分からないし)
やれやれと、あたしは買い物に一人で出ていた。
必要なものを買い揃えたし、帰ろうかとしていた時である。
「あれ、おまえ……結衣だろ?」
突然名前を呼ばれて驚いた。