第10章 悪夢の棲む家
「RSPKは余剰のエネルギーがあるから起こるという説もあるからな。本人にはその意味での自覚がない事が多い」
「RSPKの犯人は思春期の子供か女性よね?て事はお母さんや翠さんが起こしてる可能性もあるの?」
「否定はできないな。それにしてはどちらも焦点(フォーカス)ではないのが気になるが……」
なんて会話をしていればインターホンが鳴った。
お客だろうかと結衣が玄関から話し声と足音が聞こえる事に気づいていれば、その足音がこちらに近寄ってくる事に気がついた。
翠だろうか。
なんて思っていれば、ベースに入ってきたのは怪訝そうにした広田であった。
「……なんだ、この部屋は。少しでも科学的に見せて翠さんたちを信用させようって作戦か?」
噛み付いてくるかのような物言いに結衣は苦笑した。
まるで若い松山を見ているようだ……と思っていれば、騒ぎを聞きつけた翠が飛び込んでくる。
「やめてください。調査をお願いしたのは私なんですから」
「そもそもこいつらは最初から嘘をついてるんですよ。詐欺を働いている証拠です!」
「嘘……って」
「だいたいこんな子どもが責任者だなんておかしいでしょう。本来あの事務所の所長はオリヴァー・デイヴィスもいうイギリス人のはずなんです!」
突然のナルの本名が飛び出して双子は驚いてしまった。
「それとも渋谷くんとやら。きみの本名がデイヴィスなのか」
「あのう……どこからその名前をお聞きになったんですか?」
「どこだっていいだろう。どうして名前を偽る必要があるんだ?人間というのは自分に都合の悪い事実を秘匿するために嘘をつく。きみには何か後暗い事情でもあるんじゃいのか?」
「都合の悪い事が全部悪い事だとは限らないのでは?」
本名を言われたのにも関わらず、ナルは相変わらず無表情。
「正しいの事をしていると思うのなら正々堂々と本名を名乗ればいいじゃないか。隠し事があるからできないんだろう?幽霊だの霊能力だの、言ってるだけならご愛敬だがそれを利用して人の不幸につけ込んだ嘘八百の商売をする。それがお前たち霊能者のやりくちだ!」
まるでおじいちゃんの喋り方だ。
双子は揃ってそう思いながら、広田の言葉にうんざりとしていた。
「僕は霊能者でなく、研究者のつもりですが」