第1章 悪霊がいっぱい!?
視聴覚室を出る際、結衣と麻衣は後ろを振り返り、渋谷の方を見る。
だが既に彼はこちらに興味が失せたように、視聴覚室を見て回っていた。
「変な奴」
「ね、変な奴。みんな、イケメンだからってはしゃいでたけどさ」
浮かれたミチル達は未だに『きゃーきゃー』とはしゃいでいる。
そんな後ろ姿を見ながら、双子達は怪訝そうにしていた。
「あたし、あれは好みじゃないなぁ」
「ああ、結衣の好みはなんだっけ?金髪で軽薄そうな大人のミュージシャンみたいなのだっけ。趣味が悪ーい」
「うるっさいな!危険そうな大人の魅力っていうのがあるじゃん!」
「えー。絶対趣味が悪い」
そんなふうに話しながら二人は薄暗い校舎から帰るのだった。
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ー翌朝ー
「んー……!桜のいい匂い!」
「いーい天気だねぇ。早めに出てきて正解だったね♡こんな桜を二人じめだもん」
結衣と麻衣は背伸びをしながら、校舎まで続いている桜並木をゆっくりと歩いていた。
ふわりと香る桜の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ結衣は、ちらりととある場所に視線を向ける。
離れたところにある旧校舎。
昨夜、ミチルが話していた場所である。
「旧校舎……」
ふと、昨夜の話を思い出した。
『旧校舎を取り壊そうとしたら、機械が壊れるし、作業員は病気や事故……』
ぞくりと2人は身震いをする。
怪談話をしていたが、別に2人は怖いのが平気というわけではない。
「ミチルの話、本当だと思う……?」
「わ、わかんないけど……」
怖いけれど、2人は旧校舎へと興味心が湧いてきていた。
「ちょっと行ってみる?」
「外から眺めるだけにしよう。中に入りたくないや……」
2人は恐る恐ると旧校舎へと近付いてみる。
薄汚い木造建の旧校舎は明るいといっても、何処と無く雰囲気があった。
「うーわー……。こーやって見るとあのウワサもホントっぽいなぁ……」
「だねぇ……薄気味悪いや。ん?なに、あれ」
ふと結衣は校舎の中を覗いて、なにかある事に気が付いた。
「んにゃ?カメラ??」
「だよね?テレビとかでよくみるヤツっぽいけど……」
「えー?えー?なんでこんなとこにあんなモノがあるわけ?というか暗くてよく見えない」