第1章 悪霊がいっぱい!?
そんな法生に、綾子が食ってかかって大騒ぎ始めた。
「なんですってぇ!?」
「本当のことだろうが」
「ひとの手柄横取りする気!?」
「そっちこそ」
ギャーギャーと言い争ういい歳した大人達に、結衣と麻衣は怒りを感じだ。
「あーのーねーっ!」
「2人ともさあ!!」
2人が揃って怒号を飛ばそうとした時だった。
二階からパタパタと小さな足音が聞こえてきて、全員が上を向く。
「……誰かいる……?」
「誰かの足音だよね……」
「まさか!全員ここに……」
その足音はやがて、階段を降りてき始めた。
踵を鳴らすかのような音は徐々に近寄り始め、すぐに止んだ。
音が鳴り止んだのと同時に、法生は弾かれたかのように階段をかけてゆく。
「ぼーさん!」
「……だ、誰かいる……?」
「……いや、気のせいだろう」
「はあ!?気のせいって、さっきちゃんと足音聞こえてきたじゃん!しかも階段を降りてくる音まで!」
「そうだよ!気のせいって今のが!?あたしも結衣もちゃんと聞いたよ!みんなだって、ぼーさんだって聞こえたんでしょ!?」
「……風の音よ!」
まさかの全否定の言葉に、流石の結衣と麻衣は激怒した。
「いい加減にしなよ、あんたら!!」
「除霊に失敗したんだろっ!?さっきあんたたちナルにエラっそーな説教たれてたくせに、そんときナルがそんなくだらないいいわけした!?」
「自分たちが失敗したら、そんないいわけするわけ!?大人のくせしてみっともないと思わないわ……」
結衣が叫んだ途端、ドンッと大きな音がした。
それを皮切りにノックするかのような強い音が一斉に響き始めたのだ。
「ノック音……」
「また!?」
「すごい音……」
その時、蛍光灯が勢いよく破裂するように割れた。
同時に二階からは誰かが走るかのような音まで響いてきた。
「足音がさっきより増えてはります」
「屋内運動会かよ。おい、外に出ろ!天井に注意しろよ!」
「う、うん。行こう、結衣」
「う、うん……」
法生の指示通り、二人は屋内から出る事にした。
だがポルターガイストなのか、下駄箱入れが勢いよく揺れ始めて今にも倒れてきそう。
「わわ!!倒れる!」
「えっ、あっ、うわ、ちょい待った!」