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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第8章 呪いの家


真砂子の言葉にリンは無言になる。
何かを考えているのだろうか、そんな彼を結衣は見ながらもナルへと視線を移した。


(空虚な霊……正体が分からなきゃ、祓えない……リンさんもぼーさんも何も出来ない)


俯いた結衣はナルを見つめた。
夢の中のナルは元気そうだったが、本当に大丈夫なのだろうか……と思いながら。


「閉めていい?」


麻衣は真砂子が頷くのを見てから襖を閉めた。
真砂子は何処なく顔色が悪いが、きっとそれは想い人があんなことになっているせいなのだろう。


「そういや、リンさんや。昨夜なんか動きはあったのか?」


一方、法生は書類を見ていた。
そして機材の前にある椅子に腰掛けようとしたリンに声をかける。


「母屋と入り江側の部屋に。ご覧になりますか?」

「なるともー」


ナルの代わりに、法生が現在指揮を執っている状態。
なのになんともナルらしくない返事に双子はずっこけそうになった。


「ちょっと、ぼーさん!」

「せめて、もーちょいナルっぽく返事してよ〜」

「あ、そお?ほんじゃまず着替えてくるわ、黒服に」

「そこまでやらんでええっちゅうの」

「ぼーさんはぼーさんらしい服装でいいよ……」


なんてやり取りをしてる間に、リンはテープを起動させて画面に表示させていた。


「葉月ちゃんの部屋と……こっちは?」

「母屋の一階の廊下です」


画面に表示されている映像をリンが説明する。
すると葉月の部屋に人魂のような物が現れて、数秒後には消えた。


「……消えた……」

「廊下の方にも似たようなものが映ってるわね」

「入り江側の部屋の映像を出します」


入り江側の部屋の窓に、白いふわふわした球体のような物が映っていた。
それは下から登ってきている。


「……なんだ?光?」

「下から登ってきてるみたいですね」

「霊姿なのか?」


下から登ってきている。
その言葉に双子は顔を見合せてから目を丸くさせていた。

夢の中でみた光景と同じだった。
もしかしたら、あれが映っているのではないかと考えた。


「音は」

「無音です。振動もありません。他の計器類も正常値の範囲内。ただし気温が五度ほど下がっています」


なんて会話をしていれば、ノックされる音が聞こえた。


「はーい」
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