• テキストサイズ

ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


あたし達が悪いのかと思っていると、ナルは仕方ないと言わんばかりにあの時の映像をボーさん達に見せた。


「ご覧のとおりですが?」

「は……真砂子ちゃんの感想は?」


霊はいないと言い切っている真砂子は、何処か驚いた様子で目を見開かせていた。
そして少し考える素振りを見せてから、小さく言葉にする。


「……その方の気のせいですわ」

「いいかげん認めたら!?ここにはよくない霊がいるのよ!」


黒田さんの言葉に否定も肯定もしない真砂子は、体を動かすと入口の方へと向かった。


「もう一度中を見てきますわ」

「素直に『間違いでした』っていえば?」

「……この校舎に霊はいませんわ」


それだけを言い残すと真砂子は出ていってしまった。
そんな彼女を巫女さんと黒田さんは鼻で笑い、他のメンバーはなんとも言えない表情を浮かべる。

真砂子はいないと言っていた。
でもいろんな現象が起きている以上、いるとしか考えられない。


「ショックやったようですでんな」

「当然だろうな。ふつうの人には見えない事実が見えるから霊能者なんだ。まちがえたらそれはもう霊能力とはいえない」


ナルの言葉にキョトンとしてしまう。


(ナルってば、真砂子を庇った。もしかして真砂子の可愛さにやられて……?メンくい?)

「……渋谷さんてメンくいなのね」


心の中で呟いたはずなのに声に出てたのか思ってしまったが、そうじゃない。
あたしが思っていた言葉を黒田さんが言ったのである。


「ずいぶんかばうじゃない」

「彼女の仕事は知ってるし、才能については高く評価している。だから相応の敬意をはらっているだけだが?」

「だったらアタシたちにももう少し敬意をはらってほしいものね」

「松崎さんの何処を高く評価すればいいのでしょうか?」

「なんですってえ!?」


巫女さんが声を荒らげたのと同時に『パシッ』という、何かを叩いたような音がした。
それに続けてピシッと音やヒビが入るような音が何度も鳴る。


「……ラップ音か?」

「……ってのユーレイが出る時するっていうアレ?」

「え!?てことは今、ユーレイがいるってこと!?」


あたし達が騒ぎ始めた時、一際つよい音が聞こえた。
それと同時に黒板に亀裂が入った。


「黒板が……!」


ふと、微かに何処かで悲鳴が聞こえた。


「悲鳴……?」
/ 633ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp