第1章 悪霊がいっぱい!?
ジョンの『悪魔』という言葉に少し困惑する。
幽霊とかはよく話に聞くけれど、悪魔を呼び出したなんて話しは滅多に聞くことがないから。
「ゴーストが原因やったらそれは地縛霊ゆうことになります」
「地霊だと思わない?」
「地縛霊だよな!?」
ジョンが考え込みながら話をすると、巫女さんとぼーさんはまるで彼に群がるように聞いてくる。
そんな二人にジョンは困ったように叫んだ。
「わかりまへんです!」
「とにかく!祓い落とせばいいんでしょ?アタシは明日除霊するわよ。こんな事件いつまでも関わってらんないもの」
なんて言って巫女さんは教室を出ていってしまう。
「あ、出ていっちゃった」
「ムダですわ。霊はいないといってますのに」
「でもここいろんなウワサがあるよ。それにさっき巫女さんが閉じこめられたのは?」
「あの方の気の迷いですわ」
麻衣の問に真砂子はばっさりと切り捨てた。
だけど気の迷いだとしても、ナルちゃんやぼーさんが開けようとした時に開かなかったのは何故だろうか。
巫女さんが無意識に閉めたとして、開かなかったのはおかしい。
それとも巫女さんが向こうから開かないようにしていた……でも何のために。
(色々考えてもわかんないなぁ)
ふう……と息を吐き出していれば、真砂子がナルちゃんへと声をかけていた。
「……さきほどから気になっていたのですけど。あたくし、以前あなたにお会いしたことがあったかしら?」
「……いいえ。初めてお目にかかると思いますよ」
「そう……?」
まさかのナンパ。
こんなお綺麗な子でもナンパのような事を言うなんて……と唖然としてしまう。
「あんな綺麗な子でもナンパなんてするんだねぇ」
「いや、そこじゃないでしょ。こんなとこでナンパすんなよ……」
「まぁ、確かに」
なんて話していれば、茜色の光が教室を照らしている事に気が付いた。
「あ、もう夕方じゃん……!」
「ホントだ。ナル!日が暮れるよ」
「ああ……そうだな。それじゃ二階の西端の教室に機材を入れて、僕らも引きあげよう」
「ボウヤは泊まりこみはしないのかい?」
「今日はまだ……。結衣、麻衣。明日は授業が終わったらここへ。泊まるつもりでいてくれ」
「泊まりぃ!?」
「せっかくの土曜日なのにーっ!」