第6章 禁じられた遊び
そんな双子に内心ハラハラしていた。
(頼むから何も言い返すなよ。結衣、麻衣〜〜)
法生の不安も知らない結衣は、なんとか怒りを押さえ込もうとしていたが溢れ出しそうでもあった。
校長の言葉と態度全てが怒りを誘う。
(この校長、自分で依頼してきたんだよねぇ!?)
上から目線の馬鹿にしたような態度。
挙句には『そんなものに金をはらわされて』などを言う始末である。
散々文句を言いたいだけ言った校長は、脇に控えていた教師へと視線を向けた。
「それじゃ、松山先生。用意してある会議室のほうへ」
「はあ……」
年配ぐらいの松山と呼ばれた教師は、いかにも胡散臭いものを見るかのようにナルや双子に法生へと視線を向けていた。
松山は無言で校長室を出るので、全員はそれを無言で着いていく。
その道中、松山は睨むかのようにナルへと視線を向けた。
「……おまえが所長だって?いくつだ」
松山の言葉に双子と法生は戦慄した。
ナルの性格を知らないとはいえ、あのナルに『おまえ』と言うなんて……と。
「十七歳です」
「高校は?」
「ご想像にお任せします」
無表情で答えるナルに松山は見下したかのように、嘲笑っていた。
「……ふん……。オカルトだがなんだか知らんが、最近の若いやつはすぐありもしないことに逃避したがるな。しかもそれに付け込む詐欺師紛いの連中まで彷徨く始末だ。呆れたもんだな、ええ、おい?」
怒りのあまりに麻衣はスカートだと言うのに足を上げ、法生に後ろから止められていた。
結衣はというと怒りすぎて頭痛がしてきて、こめかみを押さえ込んでいる。
松山はそんな事は知らず、会議室の扉を開けた。
そして中を見てから『ん?』と声を漏らす。
「お待ちしてました」
中にいたのは、署名を持って再度依頼にきた安原である。
「安原!おまえ、授業は」
「三年はもう短縮授業ですから」
安原の言葉に双子と法生は驚いた表情を浮かべる。
「安原さん三年生なんだぁ」
「三年の三学期に生徒会長?」
「めずらし」
上着を脱ぎながら双子と法生はコソコソと喋る。
普通ならば三年の三学期だと生徒会長は引退しているはず。
珍しい高校もあるものだと結衣は上着を半分に畳んだ。