第8章 【ヌードモデル】
「だからァ...近寄るなって言った...だろ...」
赤面したまま、一条は完全にうなだれてしまっている。
ーーー意外に可愛げがあるな...って俺は何を考えて...ッ!
「破廉恥人間...ッ早く帰れェ...」
「はいはい破廉恥人間で良いですからとにかく描いてください!」
倒れたキャンパスとイーゼルを戻し、一条の腕を掴んで描かせようとした。
「俺に、触っちゃダメだァ...!」
一条に赤い顔を見せられる度、悪い感情が俺の脳内を占めてゆく。
ーーーこいつに襲われるってなったら...俺はどうなるんだろう?
「俺に襲われてぇのか...早く...帰れェ...」
焦れたような低い声に、俺はゾクッとしてしまう。
「一条...さ...ん...」
ーーーこの男に、さっき筆でされたように...俺...は...
とろんとした瞳で、一条を見てしまう。
「も...ッだめだァ...」
急に、ゆらりと立ち上がった一条に、唇を奪われる。
「ンッ...っふッ...!」
あまりに一瞬の出来事過ぎて、驚き、一条の身体を離そうとする。
だが、舌を口の中にねじこまれる。
「ちょッ...!待ッ...!」