She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第11章 煽り、煽られ、歩調合わせて
♪〜
「あ、また学校が違う」
「転校6回やで?
姉ちゃんなんか、中学の修学旅行2回行ってるんやから」
「同窓会行くの大変だね」
気になるんそこなんや、と歌謡曲が漂う自室で小学校の頃のアルバムを捲る。
「ねえ」
つい、と侑士のシャツの袖を引く真珠。
「中等部の卒アル、ある?」
そう言えばこの前届いたな、と御所望のアルバムを取り出す。
「まだちゃんと見とらんかった」
「そうなの?」
「なんや、面子変わらへんし、届いた時、おかんと姉ちゃんの方が喜んどって、忘れとった」
「えー?」
忘れるとかある?と大判のケースから取り出す。
「おおっさすが『氷帝学園』!って感じ」
「なんや、それ」
青に金字の表紙を撫でる真珠の隣に座る。
「失礼しまーす」
「アルバム捲る挨拶として正しいんか?それ」
なして挨拶するん、と笑う。
「だって、大事なゆうの記憶と経験だよ?
今のゆうを作り上げた...成分?構成源?の記録の一部だもん。
聖域-サンクチュアリ-だよ」
だから、とアルバムを丁寧に捲る真珠。
表紙裏一面の校舎の様子に、やっぱり氷帝って広いね、と言う横顔を見つめる。
真珠は、何事でもないように言ったその言葉は、侑士の心にポトン、と落ちて、いつまでも波紋を広げ続けた。
「1年だと、そんなに変わらないね」
少し髪が伸びたかな?と個人写真の侑士を指先でなぞる真珠。
肩が触れるまで近づき、耳にかけられた髪を撫でる。
ん?とこちらを向いた肩に腕を回して抱き寄せた。
「ゆう?」
外したメガネが、カチャ、と音を立てた。
指先で、見上げる真珠の輪郭を撫でる。
触れ合った唇は柔らかく、腰に腕を回して抱き寄せる。
後頭部に手を添えて、深く、口付ける。
ビクッ、と震えた真珠を抱きしめ、ゆっくりと舌で唇を撫でる。
恐る恐る開いた唇をこじ開けるように舌を差し込むと、くしゃ、とシャツを掴んだ。
その手を握り、居場所を探しているような舌を舌先で撫で、吸い出す。
舌先だけが触れ、ちぅ、と音を立てた唇を再び重ねる。
「ふ、む、ぅ」
ドンドンッ!と掴んだ逆の手で胸を叩かれ、ようやく唇を開放する。
「ふはぁっ、はぁ」
「鼻で息しぃや」
小さい鼻先をつい、と摘む。
「そっそんな、器用な事っできませんっ」
はあ、はあ、と頬を紅潮させる真珠に目を細める。
