She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第19章 Jealous Gaze
✜
大学からの帰り、侑士に連絡していいものかバス停に向かいながら考えていると、一通の新着メッセージ。
-真珠ちゃん、まだ大学? 青凪-
そのメッセージを送ってきたのは、京都に住むいとこ。
久しぶりの連絡に、今帰り、と返す。
-遊び来た-
「え?」
再び送られてきたのは、東京駅を背景にラケットバッグを背負う写真。
-明日、こっちで試合あって前乗り中-
そうだったんだ、と懐かしい年下の従兄弟に微笑む。
-今からどっかで会えへん?-
大きくなっただろうな、と昔、弟のように可愛がっていた彼と久しぶりに会うことにした。
東京駅からなら、と都合良さそうな場所を調べる。
(あ、)
自宅に帰るのにちょうど落ち合えるのは、氷帝学園前のバス停。
わかりやすくていいかな、とそこに指定する。
-バス乗れたで-
-バス停で待ってるね-
格好は、と打ちかけて、めんどくさいな、と自撮りを一枚撮って送った。
-こんな感じの女が待ってます-
-なんやそれ笑っ-
笑い転げるウサギのイラスト。
-ハーフアップ、かわええよ-
Good!とウインクするウサギ。
「あれ?そう言えばセナってゆうと同い年か」
えっと、と改めて年を数え、同じ学年だ、と気付く。
「やっぱり、ゆうはだいぶ落ち着いてるんだな」
まぁ姉ちゃん!と天真爛漫なセナの笑顔を思い出す。
ぱっと周りを明るくする、太陽のような、ひまわりのようなセナの笑顔は、幼い時から変わらない。
対し、侑士は、月のように、柊のように笑う人だな、と思う。
刺々しい濃い緑の葉の中で、細かな白い花を咲かせる柊。
穏やかに微笑む侑士は、繊細な柊の花のよう。
花が終わると、雪が積もる中に真っ赤な実を見つける姿は、その穏やかさに隠されたテニスへの闘志を示しているように思う。
(ゆうは、まだ部活があるかな)
いつも遅くまで自主練しているようだし、と携帯をバッグにしまう。
氷帝学園前で降り、セナが乗るバスが着く方へ回る。
すぐにメッセージが届いた。
-頭が緑で、あとがオレンジのバスん乗った-
合ってるよーと返し、バス停から少し離れたところに立つ。
振り返ると、すぐ近くに氷帝学園の校舎が見える。
(ゆう、部活、終わったかな?)
どんな学校生活を送ってるんだろうか、と眺めていると、一台のバスが停車した。
