第2章 episode2
長い髪を緩めに巻き、グレーの上下セットアップのスウェットを着る。中は白いチューブトップを着て、上のパーカーは丈が短くなっていて所謂へそ出しってやつ。
小さなハートのモチーフが着いているシルバーのネックレスだけアクセサリーを身につけて、白い厚底の靴を履き携帯と、ホークスの上着を持って家を出た。
相澤先生と久しぶりに会うから可愛い格好や大人っぽい服装にするかとも考えた。けど狙いすぎも気持ち悪いなと思ってラフな格好にした。
あの頃からもう3年が経つ。徐々に駅へと近づく私の足取りは段々と重くなりやっぱ行くのやめようかななんて考えていた。
ドンッ
「よぉ」
『爆豪先輩っ?!』
「おめぇボーッとしすぎだわ」
分厚い胸板にぶつかり、声のする方へと顔を上げると爆豪先輩が立っていて、「すみません…」というと「気ぃつけろ」とデコピンをお見舞された。
結局爆豪先輩と駅まで向かう。
「つーかお前なんでヘラ鳥のスーツ持ってんだ?」
『えっ?あっ、あぁ…忘れ物?』
「ふんっ!」という効果音が似合うほど不機嫌にふいっと顔を逸らし、肩で風を切って歩く爆豪先輩を見て首を傾げた。家に置いてったんでーなんて言ったらやばいよね?ホークスは一応プロヒーローの中でもトップ。すっぱ抜かれて迷惑かけらんないし…。まぁこの人は言いふらすようなことはしないだろうけど。
そんなことを思いながら爆豪先輩について行くと、駅にはもうほぼ全員揃っていて―――
「ちゃん、かっちゃん久しぶり!みんな揃ったね!」
あの頃と変わらない可愛らしい笑顔でこちらに手を振る緑谷先輩の横には轟先輩と常闇先輩とエンデバーとホークス…
「あ?イレイザーはどーした」
爆豪先輩の問いかけにビクッと体が反応してしまう。
「イレイザーはちょっと遅れるみたいだよ」と私の顔を見て言うホークスに蹴りを入れそうになったがエンデバーの前なので抑えて、集まったメンバーで先に居酒屋に入ることにした。