第9章 決断
その日の夕方、市川くん古橋くん、出雲くん神楽木くんと共に隊長室に呼ばれた。
私たち新人を集めてどういうつもりなのだろうか。
大怪獣の出現が多発し、群発型大災害ではないかと、同時多発する可能性があると…なので私たちは備えなければならないと言う。
「全部隊の、特に優秀な新人を、部隊の垣根を超えて育成する。」
それに出雲くんが先輩と仲良かった隊員をバラバラにして監視つもりなのではと言い出す。
隊長と出雲くんの言葉で私の頭は理解した。
先程、副隊長が離したくあらへんと呟いた言葉の意味を。
隊長は出雲くんの言葉に、以前から計画されていたもので先輩とは関係ないと言ってくれた。
それでもみんなは第3部隊にいたいと言う。
ただ一人を除いて…。
「やります。」
市川くんの声が静かに響いた。
古橋くんにもうちょっと考えろと言われるが、やりますと繰り返す。
「私も…それで強くなれるのならやります。でも、私の場合、保科副隊長の元で指導を受けた方が強くなれると思うのですが…。」
近接戦闘、特に刀剣が私に合っているのだ。一番力を引き出せる。
近接戦闘最強は保科副隊長のはず。
刀の扱いも彼に並ぶ者はいないだろう。
「三浦、お前のことはすでに決まっている。第1部隊に行き鳴海隊長の指導を受けた後、第6部隊に行ってもらう。」
鳴海隊長は副隊長に次ぐ近接戦闘の実力を持っているらしく、現代最強なのだ教えられた。
というか、鳴海…?
記憶の底にある人物を思い浮かべる。
だが、すぐにそんなはずはないとそれを振り払った。
そして第6部隊の隊長は保科宗一郎、副隊長のお兄さんだと言われた。
保科家である彼は副隊長程ではないが、刀の実力は確かだと…。
私を強くする為に副隊長だけではなく、色々な実力者たちから技術を奪えということか…?
彼と離れたくはない…だが、強くなれるのなら…少しでも憧れに近付けるのなら…。
「わかりました。行きます。」
関西…。
第6部隊に行けば彼には本当に会えなくなる。
第1部隊なら近いので、会える機会もあるだろう。
それでも、彼の隣で戦うには強くなければならない。
またここに戻ってきた時、胸を張って彼の隣で戦う為に…。
隊長の目を真っ直ぐ見て答えた。