第2章 防衛隊選別試験
左手に柔らかな温かさを感じながら目を覚ました。
なにかと思い視線を向けると、何か読む副隊長がいて、私の手を握っていた。
「ふく、たいちょう…?」
「目ぇ覚めたか?苦しないか?よぅ頑張ったな、ええ子やね。」
読んでいた紙を置いて、信じられないくらい優しい声で笑顔でそう言って、私の頭を撫でる。
私の頭は思考を放棄した。
ふと、夢で彼氏みたいな副隊長が出てきたことを思い出し、まだ夢の中だったかと結論付けた。
いい子と褒められたのでえへへと笑ってみせた。
すると、副隊長はいつもは閉じている目を開いた。
「副隊長の目、綺麗ですね。」
少し声を出すだけでも苦しいが、初めてちゃんと見た副隊長の赤紫の瞳が綺麗でつい口をついで出てしまう。
「そうか?三浦の笑った顔も可愛ええで。」
なんだこの甘い時間は。
というか、副隊長の目見たことないのに夢に出てくる?ただの願望?
でも、夢ならば覚めないでと思ってしまう…。
どうせ夢だし、名前で呼んでみても大丈夫だろうか。
うん、呼んでみよう、呼びたい。
「そ、そーしろー、さん…?」