第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
悟さんは微笑み、私を優しく抱きしめた。
また聞こえてきた悟さんの鼓動。
数ヶ月前、私の中にあった強く優しい悟さんの鼓動ーー
「じゃあ、さっきの泣きそうなフリはワザと?」
「もちろん。」
私はむっと睨みつけた。
ひどい。心配したのに。って言おうと思ったけれど、私も同じようなことをしたのだと気付き、何も言わずにまた悟さんの胸に飛び込んだ。
「が僕の反応をうかがっているんなら、その期待に応えてあげようと思って。」
「まんまと騙されちゃった。」
「もう一回別れてやり直すっての面白そうだけどね。」
「えっ!?」
別れちゃうのかと思って、私は顔を上げた。
「本当に嫌がっても追いかけて追いかけて、五条家の力を使ってでも手に入れるのも楽しそう。」
「でも、たぶん私も追いかけるよ?外堀から埋めちゃうかも。」
結局はお互いが好きでたまらないのだとわかって、私たちは顔を合わせ笑い合った。
「……。」
目を細め、私の頬を撫でる悟さんに、私はこれからのことをもちろん期待した。
「場所。移動する?」
悟さんもそのつもりなのだろう。私は頷いた。
「を初めて抱いた場所に行くか。」
「…悟さんのお屋敷?」
「そ。の部屋。久しぶりじゃない?ちゃんと残してるよ。」
今は阿曽に住んでいるというのに、私の部屋を維持していてくれたことが私は嬉しかった。