第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「。」
名前を呼ばれ私は顔を上げた。
目隠しを下ろしたままの悟さんは、綺麗な瞳で私を見下ろした。
「恋人になって。」
「…っ!」
「記憶が戻ろうと、戻らないだろうと、は絶対僕を好きになる。」
「……っ…ぁ。」
私も好きだ。
また恋人にしてって私が言おうと思っていたのに。
悟さんに先に言われてしまって、私は言葉に詰まってしまった。
「僕は昔も今も、これから先も、何があってもが好きだよ。」
手のひらを悟さんの胸に置いていたから、ずっと心臓の振動が伝わっていた。
「わっ……っ!」
私も。と、言おうとしたら、それよりも先に悟さんは私の頬を両手で包み、キスをしてきた。
「ん……まっ……て……っ」
話を聞いて欲しくて止めようとしたけれど、何度も角度を変え唇を重ねてくる悟さんは、眉を寄せ待ってくれなかった。
「ごめん。待てない。今は聞きたくない。」
「んんっ」
「今は、宿儺の話、聞きたくない。」
唇を話し、今にも泣きそうな顔の悟さんは、私の肩に両手を置いた。
「ごめん。無理やりはダメだった。でも、…宿儺が忘れられないって、僕をーー…」
私は首を振った。
必死に強く否定したくて、首を振った。
「……っ…」
言葉を詰まらせ、私の肩に手を置いたまま、下を向いてしまった悟さんに、私は慌てた。
まさか、泣いてしまったのだろうか。
「さ、悟…さん。」
「が宿儺を優先する気持ちもわかる…そうだよな…千年だもんな。僕たちはたったの数ヶ月だ。フラれるに決まってる。自分の気持ちだけ押し付けるなんて…悪かった。ごめん。」
どんどん話を進めていってしまう悟さんに私は、どう切り出そうか迷った。
まだ宿儺を好きだと勘違いしてる悟さんに、“悟さんが好きだ”とそのまま伝えて信じて貰えるだろうか。