第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
五条も甘いカフェオレに口をつけ、話を戻した。
「それで?の力を総監部に教えたのは誰だ?」
「総監部の孫娘。年は20。フリーで呪術師をしてる女だ。」
「総監部の身内のくせに、フリー?」
「あぁ。こいつがそうだ。」
夏油は写真を一枚机に置いた。
茶色い髪のふわっとした可愛らしい女。
「名前は桜子。この子がの力を総監部に教え、呪術界に浄化の力を知らしめようとした人物だ。」
「ふーん。でも、総監部はそれを無視したわけだ。」
五条はぴらっと写真の女を見つめた。
「おそらくね。変化を嫌う総監部だ。たった一人しか使わない浄化を気にしたくなかったんだろうね。」
「それで、この女が嘘の噂を流したんだな。が総監部に目をつけられたと知ったら、呪術の家系のやつらはこぞってを取り込もうする。」
夏油はそれを聞いて手を顎にやり、考えた。
「しかしそれで何か変わるか?なんのために?」
「をどこかに嫁がせたかったから?」
「なんでだよ。あー、もしかして悟のファンとか?悟からを遠ざけたいから…。」
「こんな女しらねぇよ。会ったことも見たこともない。ここまでやるような女なら一度くらい僕に声かけるでしょ。」
総監部の身内なら、なおさらその力を使ってくる可能性だってあったはずだ。
ならなんでこの桜子は、をどこかの家に嫁がせようとしたのだろうか。
なぜ、を邪魔だと思っているのか。
「あー、わっかんね。今この女どこいんの?」
「一応、小さな呪霊につけさせてる。」
「やるじゃん、傑。なんか動きあったの?」
「特に。フリーだから高専にもあまりいないし、ただ最近人に会っているようだったが、何の会話をしたかまではわからない。」
つけさせてはいるが、その時の会話や視覚を共有できるわけではない。