第14章 二人はずっとずっと一緒
呪霊は、光に包まれさらーっと砂のように消えていった。
「一級討伐おめでとー!手で矢を放つフリをして祓うなんて、さっすが!本当に巫女みたいだったよ。」
「うわぁ、私が私じゃないみたい。」
手をぱちぱち叩いて喜ぶ悟さんに、私は自分の力が少し怖かった。
あまりに今までとは違いすぎて…。
「さて、あと残り二体。領域の中に行こうか。」
悟さんは目隠しを下ろし、私に手を伸ばした。
悟さんの手を取り、私がさっき空けた正得領域への穴へと入った。
赤黒く、足元もふわふわしてて何かの身体の中にいるみたいだ。
「す、凄いね。」
「んー、でも一級だし、とてももろい領域だ。がここからさっきのを放てば外への穴もつくれると思うよ。」
悟さんには呪霊の場所がもうわかっているんだろう。
だだっ広いのに、明確に悟さんは歩いていた。
「領域ってなんで作るの?」
「んー、簡単に言うと相手を閉じ込めるってのが一番の目的かな。この正得領域は敵の呪力によって作られてはいるけど、そんなに強くはない。本当に強いのは領域展開と言われてて、それは使う人が限られてる。ま、もちろん僕は使えるけどね。」
今回のは雑魚だからそんなものは作れないよ。と私の手を握ったまま悟さんはどんどん進んでいった。
私は周りを見渡した。
ぬめっとして、床は柔らかく、ただずっと広い空間が広がっていた。
ピッ
キー
キュキュ
ふと、呪霊の気配がして後ろを見ると、小さな呪霊たちがぴょこぴょこ飛び回っていた。
「悟さん…」
「あぁ。ずっとついてきてる。きっとここで生まれたやつか、巻き込まれたやつか。ここにいたらもう助からない。浄化するか?」
「いい?」
一級2体を祓うとここはもうなくなる。
悟さんの手によって綺麗に祓われるだろう。
でも、浄化を進めてくれた悟さんの優しさに私は答えたかった。