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【R18】俺のヒーローはαでした

第2章 予感


千明side

「佐野、俺もう出るからな。」

いつもなら佐野の方が家を早く出ているが、今日は俺の方が早かった。
佐野の部屋を覗き一言声をかける。

「あ、朝飯、テーブルの上に置いてる。コーヒーは自分で注いでくれ。じゃあな。」

「ん、今日早いな……学校行くのか?」

眠そうにしていた表情も俺の制服姿に驚いたのか少し目を覚ましていた。
この時間まで寝ていたのか、髪はボサボサだ。

「うん、ちょっとな。早く起きねぇと遅刻するぞ。」

そう言って扉を閉める。
時刻は7時を回ったところだ。
あいつ本当に大丈夫なのか?
この時間まで寝てるの珍しいな。

俺はいつものバス停に立ち、学校のバスが来るのを待った。
並んでいる顔ぶれも久々に見た為か少し気まずい。
今日はネクタイも入学したての時みたいにしっかり締めている。


「おはよう……って三上!?」

バスから降りて校舎に向かうと1番初めに担任と出会った。
俺が登校してきたことに驚いてるようだ。

「おはようございます。先生。」

「……おはよう。学校に来る気になったのか。よかった。皆心配してたぞ。」

嘘つき。
俺の事なんて皆何とも思ってない。
現に連絡のひとつ来なかった。

「髪も染め直したんだな。」

「まぁ……先生、後で話したいことがあるんすけど……」

そう話を切り出すと担任は「昼で良ければ話を聞く」と言ってくれた。
生徒指導室が空いているからそこに来てくれという事だった。


「ねぇ、あれ三上君じゃない?」

「本当だ、凄い久々に見た気がする。」

「何で来てなかったんだろ……全国模試上位らしいのに……勿体ない。」

俺が通りすがる度に俺へのコソコソ話が聞こえてくる。
あまり注目されるのは苦手だ。

「あ、あれじゃない?…Ωだから……」

その言葉が聞こえて立ち止まってしまった。
Ωはこの学校にいちゃおかしいのか?
発情期が迷惑か?
虐められてたと思われてるのか?
確かにこの学校はαの数が他の学校に比べて多い。
Ωなんて俺1人だ。
周りにとって俺は異色の存在だ。
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