第22章 黒閃
悪人が嫌いだ。
更地みてぇな想え像力と感受性でいっちょ前に息をしやがる。
不良をボコったのはそれが理由。
善人が苦手だ。
そんな悪人を許してしまう。
許すことを格調高くとらえてる。
吐き気がする。
津美紀は、典型的な善人だった。
それが気持ち悪くて、中学時代はあいつに反抗していたしムカついていたし、酷い言葉だって……。
小1の時、俺の父親と津美紀の母親がくっついて蒸発した。
そんな金どこにあんだよって思っていたけど、その謎は白髪の怪しい男が教えてくれた。
俺の父親は禪院家の出らしく、あの五条先生ですら引くレベルのクズでろくでなしで禪院家を飛び出し俺を作ったという。
幼い子供2人置いてどっかに行く奴だ。
クズだってことはとうの昔に知っていた。
「恵君はさ、君のお父さんが禪院家に対してとっておいた最高のカードだったんだよ」
俺は父親に禪院家に売られた。
その金で父親はいなくなった。
どこまでもクソな奴だ。
父親に対してもムカつくけど、デリカシーのないアンタにもムカつい帯た。
だけど、そのムカつく男が禪院家の件を帳消しにし、俺が将来、呪術師として働くことを担保に俺達二人の高専からの金銭的援助を通してくれた。
何が、呪術師だ。
馬鹿馬鹿しい。
こんなに捻くれて全人類見下している俺が、人を許せない俺が、誰を助けるってんだよ。