第14章 明日
「吉野順平の事ですが……」
「私が殺したよ」
「それは知っています。残穢からあなたの術式が見れましたので」
「………」
「その様子だと、まだ何も聞いていないんですね」
七海は眼鏡をあげて今度は深い息を吐いた。
里桜高校の事件後。
窓の人たちが吉野順平の自宅へ訪れたらしい。
その現場は悲惨なものだったらしく、吉野の母親、吉野凪の遺体とむき出しの宿儺の指(副左腕小指)が見つかったと言う。
宿儺の指に寄せられた呪霊に襲われたとみられる彼女の遺体は、腰から下が欠損していたらしい。
現場には目視で確認可能な結婚はどこにもなく、彼女の遺体は寝室に横たわっており、掛布団をめくると、あるだけの保冷剤と氷嚢が敷き詰められていたという。
きっと保冷剤と氷嚢は吉野がやったのだろう。
9月と言えどまだ気温は高い。
遺体が腐敗しないように。
吉野が学校の連中を襲ったのは。
たぶん宿儺の指を家に置いたのが生徒の誰かだと思ったのだろう。
だけど一般人がアレが一体どういうものなのか理解している確率は非常に低い。
私の憶測だけど、全部継ぎ接ぎ野郎が仕組んだことじゃないだろうか。
じゃないと、何もかもがうまくいきすぎている。
「宿儺の指は?」
「上層部に提出しました」
「五条悟に渡すかと思った」
「渡すわけないでしょう」
「まぁ、あいつに渡したらすぐに虎杖に食わせるだろうしな」
「100%そうでしょうね」
考えていることが同じだとこんなに会話が楽なのか。
そう言えば伏黒と話していてもあまりストレスを感じたことないや。