第5章 特級
――夏油side――
高専に戻った私と伏黒は家入硝子から治療を受けていた。
伏黒が何か言っていた気がするけど、何も耳に入って来なくて適当に頷いた。
憔悴しきっている私は、ただただ黙って治療を受けるだけ。
「……虎杖の遺体は?」
「まだ安置所にあるよ。これから解剖するけど」
「ちょっとだけ、見てもいい?」
解剖される前に、火葬される前に。
最期にもう一度だけ虎杖の顔を見たかった。
家入硝子は「あまりお勧めしないよ」と言ったけど、遺体をオススメする医者を私は見たことがないから、オススメされなかったところで別にどうでもよかった。
ただ、見たいだけだから。
「私も準備ができたら行くから。先に行ってていいよ」
「そのつもり」
頭に包帯を巻き終わった私は、医務室を出て安置所へ歩いていく。
安置所が近づくにつれ中から誰かの声がする。
この声は五条悟のものだ。
誰かと話しているのか。