第4章 対面
「えっと……なんか、ごめん」
私たちの間に挟まれていた虎杖が頭を下げてきた。
別に謝る必要はないけれど、私と五条悟が喧嘩をしているのは自分が原因だと思ったらしい。
「いや、虎杖のせいじゃないから」
「でもさ……」
「もういいから。案内続けるよ」
「お、おう」
これ以上不毛な喧嘩はよそう。
それでなくても地方から東京にやってきて、しかも呪術界に足を踏み込んだんだ。
不安にさせる要素はどこにもない。
こいつの態度を見る限り、不安とは無縁そうだけど。
虎杖を殺したくないと言うのは同情よりも、私と似たようなものだからかもしれない。
こんないい奴が、死刑とかありえないだろう。
もとは非術師なんだろ。
それが今じゃ宿儺の指食って死刑とか。
納得できないだろう。
こいつはまじでいい奴だ。
この世界を知らないからかもしれないけど、夏油という名字を聞いても何のためらいもなく手を差し伸べてきた。
そして握った。
純粋に、嬉しかった。
小さい事かもしれないけど。
友達になれるかもしれないって思った。
「あのさ」
「なに」
「さっき俺と同じとかなんとか言ってたけど、あれなに」
今それ聞くか。
私、虎杖と友達になれるかもしれないって思ったばかりなんだけど。
そんなに私が友達を作ることがきにくわないのか、神様。
私は軽く息を吐いた。
濁す必要はない。
知る時は知るだろうし、仲良くなってから私の事を知って離れて行かれる方が精神的にきつい。
傷は浅い方がいい。