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人魚姫 【文スト/中原中也】

第5章 初めてのデェト


唇にそっと触れてみる。

さっきの感触がまだ残っていた。

心臓はバクバクと鼓動を鳴らし続ける。

落ち着け、落ち着け。と何度も心の中で云い続けるも全く云うことを聞いてくれない。


「待たせたな」

そうこうしているうちに中也くんが戻ってきた。

首を横に振ると、再び頬に彼の手が触れた。

視線を彼に向けると、真剣な眼差しと視線が重なり合った。

「出逢ってすぐ手前に一目惚れした。好きだ、。」


夢かと思った。
まさか両思いだったなんて。

こんなに嬉しいことはない。

だけど、私は恋なんてしちゃいけない。

私が愛した人は死んでしまった。

もう失いたくないのだ、大切な人を。


「急で悪い、答えは今すぐじゃなくていい。今度逢う時に答え聞かせてくんねぇか?」

私は頷いた。

本当は今すぐにでも貴方が好きと云いたかった。

でも、怖い。

中也くんを失いたくないから。

彼の笑顔が大好きだから。




こうして中也くんとの初デェトが終わった。

幸せなひとときだった。

"「好きだ、」"

部屋に入った途端、中也くんの言葉が何度もリピートしていた。


来週中也くんと逢う約束をした。
その時返事をするのだ。

答えは決まっているのに。

だけど

私も好き、、、、、。


心の中で呟いた。


この数日後、再びヨコハマに危機が訪れ、私と中也くんの関係が変わることをこの時の私は知る由もなかった。


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