第36章 蜂蜜の愛
「……いいね。」
おでこを離すと、あなたの口癖が自然と出る。
「廻が楽しいサッカー、やってきてね!」
この笑顔は、作り笑いなんかじゃない。
この気持ちに、嘘偽りなんかない。
“俺、夢ちゃんのコトね。絶対的に信頼してるんだ。”
大学受験の日、蜂楽がくれた“太陽”の笑顔。
私、あなたと同じ笑顔でいられたかな───?
「夢はいつも、そのままの俺を見てくれる。」
いつになく真剣に言う蜂楽に、ドキッとする。
「だから俺も、そのままの夢を愛してる。」
……まーた先に言われちゃった。
「愛してる、廻。これからも変わらずにいてね?」
「俺はいつまでも俺だよん♪夢もね?約束!」
髪を耳に掛けられて、頬に手を添えられると
今朝のコーヒーに入れた“甘み”が微かに香る。
「俺達って、蜂蜜みたいだ。
純度100%の……混じり気のない愛。」
純粋な“甘み”を携えて、蜂楽から口付けられる。
ひとつに溶け合おうとするような
甘くてとろけるキス。
もう体なんか……邪魔なくらい。
「……ん」
「はぁ……」
───この甘さは、まさに蜂蜜
ふたりを繋ぐ、愛の味───
「夢の髪、甘い香りする。」
花の“蜜”に引き寄せられた“蜂”みたいに……
髪にキスされる。