第35章 リバティ ✢
目を覚ますと、蜂楽のベッドで寝ていた。
裸の上には、ちゃんと毛布が掛けられている。
「……廻……?」
夜が訪れた部屋はすっかり真っ暗だ。
事後のかすれた声の自分。
重すぎる体をなんとか起こして部屋を出た。
どこで脱がされたかも記憶にない服と水を欲して、小さめの毛布に包まってフラフラとキッチンへ向かう。
暗闇からやって来た眼を刺す、電気の光。
眩しさを乗り越えると、立ったままモグモグしている蜂楽がいた。
「あ、夢♪おはよ!カラダもうへーき?」
食べていたのはパイナップルケーキ。
パウンドケーキ型の中には、もう何も残ってない。
「ケーキめちゃめちゃ美味かった!!
美味すぎて、ぜーんぶ食べちゃった♪」
ケーキの欠片を口元に付けた、キラキラの笑顔。
「ひとつ残らず食べてくれて……ありがと。」
それを、キスで取ってあげた。
「夢…ん…♡」
「……本当だ。美味しい。」
何度も、ひとつずつ、丁寧に口付ける。
柔らかい口元に、ふわりと優しく触れていく。
私が言った通り、蜂蜜をかけて食べたんだね。
ほのかに残る蜂蜜の甘さが、事後のムードを高める。
「……ねぇ廻、コンビニ行きたい。」
「にゃは、いいよん?珍しいね。」
「エッチした後ってさ、甘い物が食べたくなるね。」
「マジそれ!糖分補給じゃあ!いこいこ♪」
「ふふっ。まだ食べるんだ。」