第31章 契約破棄
「赤くなってるっしょ?」
「……知らない。自分の顔、見えないもん。」
部屋が暗くて安心したのも束の間。
「なってるよ。だって俺のと…おんなじ熱さ。」
頬に頬をくっつけられる。
そういう素直なところ、大好き。
笑って、怒って、泣く……素顔の廻を愛してる。
だから、帰りも判らない合宿に行ってしまうのは
寂しいに決まってる───。
「まだ生理中?」
「うん。」
「俺がギューして温めてあげる♪」
「……めぐる、苦し……」
「女の子は体冷やしちゃダメなんでしょ?」
“俺さ…女の子の体のコトとか体調とか、よく解んないけど。
これからは、解るようにがんばる。”
随分前に言っていた。
そう言われてから何ヶ月も経って……
ふたりで色々な壁を乗り越えてきて……
「廻……大人になってる。」
少しずつ大人に近付く蜂楽は、頼もしい。
「愛してるぜ♪夢。」
「きゃー、おっとなー。ばちらくんすてきー。」
「夢ちゃんも言って?」
「はいはい、愛してます。」
でも、本質の部分は……ずっと変わらないでね?
いつまでも心は子供のままでいて欲しい。
綺麗な眼のままでいて欲しい。