第30章 裏切り
「夢ちゃんは、俺が描いた通りすごくキレイだ。
絵が上手で、賢くて、料理上手で、頑張り屋さん。
優しくて、マジメで、意外とノリ良くて、面白くて、運動どんくさくて、エロくて、すっごく強い。
夢を取り戻した夢ちゃんは、世界一カッコいい。
俺の自慢の……“カノジョ”だ。」
───“彼女”……って。
だって私、まだ───。
「はりゃ?嬉しいとすぐ泣くのに。なんか違う?」
いつもの蜂楽の、明るい口調。
“本当の恋人になるまで……本チャンのセックスはおあずけにしない?
夢ちゃんが気持ちの整理つくまで俺、我慢がんばっちゃう♪”
「……だって私まだ、大学、受かってない……」
“本当の恋人同士になれるまで…夢ちゃんのコト、待ってる。”
蜂楽が私に言った言葉がループする。
親からの支配、“鉄の首輪”だって……
まだ、壊せてないんだよ……?
「俺、夢ちゃんのコトね。絶対的に信頼してるんだ。」
蜂楽は、正面から私の肩を両手で掴む。
蜂蜜色が戻った眼が、太陽光で光る。
「夢ちゃんは今日、試験に合格する。そんで俺のカノジョになる。
俺は夢ちゃんの“太陽”だから…その道を明るく照らしてあげる。」