第19章 お守りみっつ
人前で口移しっていうコッテリなキスをされてしまい、顔の火照りが留まるところを知らない。
移されたイチゴも味が判らなくって……
あれ、イチゴって……こんなに甘かったっけ?
見ていた周りの生徒会メンバーが色めき立つけど、彼女らの声は耳に入ってこない。
蝶野くんの反応は怖すぎて見れないから、眼を誤魔化してピントを合わせないように努力した。
「このお守りズ、ゼッタイ効果あるから♡」
ウインクする蜂楽のせいで、顔が沸騰する。
この人は……空気が気まずくなった後の切り替えが、本当にいつも早い。
悩まない、それが、スゴイところ。
“ムカツクんだよ、夢。”
昼間の言葉が脳裏に浮かんで、不思議な気持ちになる。
悪態を取られ、心を抉られて……
いつも笑ったりふざけたりしてる蜂楽から
初めての感情をぶつけられた。
私もぶつけ返した。
なのにたった今……
大好きな人に振り回されている自分自身を
受け入れられた気がした。
“夢ちゃんの新しいトコ、知る度に思うんだ。
もっともっと知りたい、って。いいトコも悪いトコも、俺にはぜーんぶ曝け出して欲しい、って。
それが、愛なんじゃない?”
ウチに泊まった夜、蜂楽は言った。
それって、この気持ちのことなのかな?
これがその……“愛”ってことなのかな?
なら、あなたの言う通りだね。
私も、もっともっと知りたいや。
もっともっと……振り回されたいや───。