第19章 お守りみっつ
蜂楽の頬を叩いた手が、痛い。
赤くなってジンジンする手のひらが
自分のものじゃない気がした。
小さい頃から“落ち着いてる”と言われてきて…
周りは私に冷静さを求めてるんだと勝手に感じてて…
だから、こんなに重い感情をぶつけたのは初めてで。
蜂楽にしてしまったことの
理由を探そうにも見つけ出せない。
世に言う“感情の爆発”ってやつなんだろうか?
私の中に出現した、醜い“独占欲”。
きっとこの黒い塊は……私の中の“かいぶつ”だ。
今も体中にはびこって、暴走してる。
生徒や来校者を掻き分けて、文化祭で賑わう校内で逃げ場所を探した。
「……はぁっ……」
図書室。
ここなら誰も、いないはず。
期末テスト前、蜂楽と一緒に勉強したこの場所。
心臓がまた、ギュッとなる。
奥の本棚に寄りかかって床に座ると、目に入るのは靴下の中にしまわれた左足首のミサンガ。
その凹凸を丁寧に撫でると、今は忘れたいはずの蜂楽をより深く感じてしまう。
けど、このまま浸ってもいたくて……
私は一体、何がしたいのか……
答えが全然……見つからない。