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【青監夢】跡継ぎを産めと言われて収監されました

第3章 白衣の看守人


「二子一揮、少しいいか」


二次選考を無事終えた5人チームの一つ、二子一揮、氷織羊らが夕食を終えて一息ついた時のことである。
勝利の余韻に浸り終えた頃の良い感じのタイミングで二子を呼んだのは、監獄のドクターのだった。
は己のテリトリーである診療室がある方向を指さした。


「さん?」
「手間はかからない。時間は早ければ20分くらいで終わる」
「いいですよ。氷織くん、少し抜けますね」
「ええよ」


は今まで、特にこの二次選考中は各チームの代表者を呼んで雑務をすることが多かった。
最近で言えば歯ブラシがなくなった、とか、テーピングが足りない、とか。
逆に欲しいタイミングでが来ることも多いため、今回もそれだと思っていた。

しかし二子が連れて来られたのは、備品らしきものは見当たらない検査室だった。
そこには、一次選考通過時に全員で受けさせられた視力検査で使った装置が置いてあった。


「医者として、『今のあなたに疾患は無い』と断言した上で、一つ検査を受けてほしい。詳しくは後で言うけど、今言える目的は一言でいえば『サンプルが欲しい』だ。散瞳薬も放射線も使わないからすぐに終わるし負担はかからない」
「分かりました」


眼底検査では通常、目に余計なものが入らないように眉毛やまつ毛を上げる必要がある。
二子の場合、人に目を見せるのは好きではないが、そのあたりはの配慮もあって、始めから眼底検査装置を挟んで座っているので、二子が前髪を上げている間にお互いの顔が見えることはない。

すぐに終わると言われた通り、眼底撮影はすぐに終わった。
二子が前髪を整え終えたのと、が二子の眼底写真を見やすく表示し終えたのは同時だった。


「こっちが一次選考が終わってすぐに撮った写真。こっちが今撮った写真。変化はない」
「この赤い葉脈みたいなのは血管ですか?」
「そう。太い方が網膜静脈で、細い方が網膜動脈。で、ここからが本題。二子一揮、あなたのような“目が良い選手”が目を酷使し過ぎることで、視力が下がる危険性があるという“仮説”ができた」
「……!!」


ドッ、と二子の心臓が波打った。
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