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リクエスト 裏短編集♡

第4章 七海健人  覚悟


七海side



さんのイニシャルが刺繍されたレースの白いハンカチを拾い上げる



「不幸中の幸い‥といったところでしょうか」



私も以前閉じ込められたふざけた部屋の中



条件を満たさない限り中から出る事はできず
また外から助けに入ることもできない




ただし
中に取り込まれたものがその日に身につけていた何かがあれば

外からでもその結界内に入る事が出来ると数日前に判明したと先程家入さんに教えてもらった



条件を満たした今
ぼんやりと浮かび上がった結界内に足を踏み入れる




そして
目の前に広がる光景に頭の血管がぷつりと切れてしまいそうだった








「五条さん‥‥あなた‥何をしているんですか‥」




「ん‥‥ななみ‥‥?」





『!?』






床には散らばった媚薬の小さな小瓶





脱ぎ捨てられた衣服






愛するさんの乱れた姿




『健人っ‥ごめんなさいっ‥‥ぜんぶ飲んだのに‥っ‥部屋から‥でれ‥なくてっ‥』




真っ赤に染まった顔



さんの事だから
また五条さんを助けようとして飲んだんだろう




散らばった空き瓶




辺りを見渡すと部屋の角
一番端に一本だけ小瓶が転がっているのを見つける




それを拾いあげてごくりと喉の奥に流し込んだ




「とりあえずこれを‥五条さんはさっさと服を着てください」




着ていたスーツのジャケットをさんに羽織らせて
うとうととまどろみの中にいる五条さんに脱ぎ捨てられていた服を投げつける



それと同時に部屋の扉が開いて




先程まで立っていたくらい路地にでると部屋がさっと消えていった




「七海さんっ!さんは?!」




「無事です。君達は五条さんを頼みます」




一足遅く駆けつけた伏黒くんと補助監督に五条さんを押し付けて


さんと共にタクシーに乗り込んだ




自宅の住所を伝えて
ようやく隣に座る身体を抱き寄せた




『健人っ‥』





「説教はまた後で‥今はまず‥無事でよかった」




まぁ違う意味で無事ではないが


命には変えられない



ちらりと振り返る運転手の視線も気にせずにキツくその身体を抱きしめたまま帰路についた
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