第4章 七海健人 覚悟
身体が燃えてるんじゃないかと思うほど熱い
特に
なんだかお腹の奥がきゅんってして
せつないかんじがして
とっても苦しい
触れている七海くんの身体も同じくらい熱い
心臓にどくどくと血液が流れているのが分かるくらい激しい鼓動
力も入らなくて少し目を閉じていたけれど
ふと聞こえて来た声に目を開く
少し焦った様に私を見る悟が優しく頭を撫でると
熱が籠った瞳で七海くんが私の頬を撫でる
『え‥えらべなっ‥』
きっと悟も七海くんも
この身体の疼きを救ってくれようとしている
呼吸すら苦しいこの身体の疼きを
「僕か七海‥どっちに抱かれたい?」
『んっ‥?!』
「ちょっと五条さんっ‥勝手な事しないで下さい」
悟の顔がどんどんと近づいて来て
唇と唇が触れ合いそうな距離にするりと七海くんの手が滑り込んだ
唇に触れたのは
大きくて
ゴツゴツと骨張った手
海を感じる様な
爽やかな香りが鼻腔をくすぐる
『っ!!?』
七海くんの香りを感じて
ドクンとさっきよりも激しく心臓が音を立てる
落とさない様に
腰に回された手
触れ合ったところを意識しはじめるとどうしようもなく身体が熱くなる
この手で
触れて欲しい
そう思うと堪らなく七海くんが欲しくなって
頭の中までぞくぞくと痺れる
七海くんに
触れて欲しい
この
疼いて仕方がない
身体の奥まで
『な‥七海くんっ‥‥』
「どうしましたか‥」
声を出すと抑えられていた掌が離れていって
真っ直ぐに見つめられる
それだけで胸の奥がまたキュンと跳ねる
「ふー‥」
ゆっくりと深呼吸をしている様に見えるけど
身体はとても苦しそうだった
『七海くんにっ‥さわってほし‥っ‥‥悟‥ごめん‥なさっ‥』
「っ!!よく言えましたね」
「マジかよ‥」
「では、失礼します」
がっくりと項垂れてしまった悟に軽く頭を下げるとスタスタと廊下を早足で歩き出した
その振動すら今は辛くて
もっと何も考えられなくなるくらい
強い刺激を与えて欲しい
とっても長く感じた廊下を渡りきると
がちゃりと部屋の扉が開かれた