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鬼が人の心を宿す時【鬼滅の刃】*短編集(ほぼ鬼)

第2章 The Light in the Abyssー前編【猗窩座】



「......んぅ」

脊髄に走る甘い感覚が、もっと上らせてきて
背中がうねれば、声が漏れたら
もっと熱い舌が敏感なそこばかりを這う。

全身が甘美な熱に溶かされて
ただ愛おしくてその頭を抱きしめる。
行き場のない快感がその先を誘うように、
反り上がる腰が彼の下腹に体を押し当たるのを止められない。

「止められそうにない…全部欲しい」

「じゃぁ、あなたのも全部ちょうだい?」

下を脱がされるの、宝箱を開けるように優しくて
そのしぐささえ気持ちよかった。

じれったさも交じって、先に抜いた足で残った布を押し払った。抱え開かれた脚、内太腿に口づけられて、強まる刺激にのぼせそうになる。


全部欲しいってあなたは言うけど
それは欲しいんじゃなくて『受け止めて受け入れて欲しい』
そういうことでしょう?

殻に閉じこもっていたであろう彼の心の叫びを
わたしが鍵を開けるように解き放ったのなら、どんなに名誉なことだろう。

だらしないほどにぐちょぐちょになったそこを蜂蜜を舐めるように熱い舌が這い、じゅるると音を立てて耳を犯してくる。

もっと入って欲しい。
全部のその溢れる感情を注がれたい。

「あああっ!」

反射反応で逃げるけど強く甘い刺激からは逃がしてくれない。
どこか甘えているようで強い力で捕まえられた腰。
容赦なく嬲られて、快感に耐えていく分汗が滲んだ。

再び胸の頂をこねくり回す指に翻弄される。
先ほどより力強く乱暴に。

どちらも強くなる刺激に耐えられなくて、寝かされているシーツをくしゃくしゃになるほど掴んで、声を抑えることも忘れて喉元から体が反りかえる。

それでも容赦ないほどに昇らせる熱い刺激で頭の中が真っ白になるほど気をやった。


お互いの息が電気も付けない静かな部屋で反響する。
外のセルリアンブルーがガラス越しに暗くなっていて、汗が滲む肌が息をのむほど美しいと思った。

「暑くない?」
「…このまま止めないで…」

ふっと笑う息。ホッとしたように優しく笑う顔を初めて見たかもしれない。
余韻と高鳴りが合わさって、また強めに腰が浮くと、かわいがられるように甘えてくるように、わたしのからだに胸に鎖骨にキスを落としていく。

少しでも動いたら、唇が重なるほどの至近距離。
性愛と混ざった感謝と慈愛が混ざった眼差し。
自然と涙があふれた。
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