【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
『勉強の事……ごめんなさい…
迷惑じゃなければ、いつでもお店に行きます。用無しなんてそんな…
これ以上、条君の時間を奪ってしまうのはどうか、って父と話して…それで…
条君がいらないなんて思ってない…
勘違いさせてしまったなら…ごめんなさいっ…』
必死に頭を下げた。
感謝しきれない位の気持ちなのに、不快な思いをさせてしまうなんて申し訳なさすぎる…
「……いや、ごめんね、沙良ちゃん…
何だろうね、俺…どうかしてるよね…」
声荒げてごめんねぇ…
そう言って笑うと、条君は歩き出した。
風鈴高校まで、私達は一言も話さなかった。
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「じゃあ沙良ちゃん…俺一旦帰るね。
商店街で買いたい物もあるし…」
正門の前まで来ると、柊さんが待っていてくれた。
『条君っ…』
振り返ると条君の後ろ姿がひどく小さく見えて、思わず声をかけた。
「……なぁに?」
ふっ、と笑って振り返る条君。
歩きながら考えていた事を伝えなきゃ…
きっと後悔する。
『あの……
さっきも言ったけど、条君の事、不要なんて思ってない。感謝してるから…本当に簡単に返せないくらい感謝してる。お店にも行くし、うちにだって来て欲しいし…
今まで通りで、何も変わらない…
ただ、私のお世話係みたいな事をしなくて大丈夫なだけで…
だから……っ……』
条君は私の頭にポン、と手を乗せた。
「わかってるよぉ…
ごめんね、沙良ちゃん。子供っぽい事して…」
また迎えに来るからね、そう言って条君は商店街の方に向かって歩き出した。
「…大丈夫か?」
柊さんに声をかけられた。
『はい…大丈夫です。』
「…久しぶりだな、沙良ちゃん。元気だった?」
『はい……元気です。柊さんは?』
柊さんは風鈴の中で、私が一番話しやすい人だ。
よく気がついて、温厚で情に厚い人。
多分私の痣の事も、話せばすんなりと受け入れてくれる人だろう。
色々な事があって、人を見ると自分の痣をどう思うだろうかと、勝手に決めつけるようになっていた。
この人は多分無理だ…
この人はきっと大丈夫…
この人はわからない…
わからない人が圧倒的多数で、それが人間関係を難しくしている原因だとはわかっていた。
決めつけはよくない…
けど……どうしても恐い…