【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第2章 出会い
すると、ふわっと温かい物が頭を包んだ。
『っ……』
「悪かった、沙良…顔上げてくれ。」
頭を包んだ手がポンポンと上下すると、柔らかい声色が耳に届いた。
「頼む…」
ゆっくりと顔を上げると、温かな眼差しが私を捉える。
「優しいな、沙良は。正直、そんな風に反応されるとは思わなかったんだ。変なタイミングで言ってごめんな。」
『そんなっ…私が…考えのない質問をしたので…
本当にごめんなさい。』
「…………」
『梅宮…さん?』
真剣な顔つきになる梅宮さんを見て不安になる。
「いや……結局沙良、何回謝ったかな、って。」
『え……?』
「3回謝ったよな?…そうだよな!?」
うーん、とあごに手を当てて考え込む梅宮さん。
『あの……』
「いや、そんな謝ると思わないじゃん?1回やっちゃったら警戒するからさ。何にしようかな、って。罰ゲーム。」
な?と言わんばかりに私を指差す梅宮さん。
その姿に、少しほっとした。
『私の負けで大丈夫です。言う事は何個でも聞くのでどうか…許してください。』
もう1度深く頭を下げた。
「…沙良、俺だからいいけど、お前のそういう所につけ込む奴がこの先いないとも限らない。だから…簡単にそんな事言わない方がいい。」
ニコりとする梅宮さん。
『はい…』
「罰ゲーム、2つは思いついたんだけどさ、あと1つは保留にするよ。いいよな?」
『大丈夫です…』
「よし。まずは1つ目。俺に敬語を使わないこと。2つ目は…そうだな…」
思いついたと言ったのに、なかなか言い出さない梅宮さんを怪訝な顔で見つめた。
「俺の事、梅って呼んでよ。」
『えっ、梅…!?…ですか?』
「そう。罰ゲームだから無理はなしね。」
『せっ…せめて梅君とか梅さんとか…』
「えー…じゃあ梅君がいいな。梅さんてちょっと老けるじゃん。俺のイメージじゃないじゃん。」
はは、と笑う梅宮さん。
ご両親の死が、そんなに軽いわけがない。
それは私も…よく知っている。
乗り越えたんだ。
凄い人だと思った。
商店街に入ると、梅宮さんは色々な人から声をかけられていた。
「おっ、梅。この間はありがとな。また頼むわ。」
「ういー。任せてよ。」