第46章 戸惑い
[……………椿ちゃ]
(嘘)
両目が見開いたまま瞬きすら忘れてしまう
唐突にそんな事を言われてはそうなるのは必然なのかもしれないが
(…そんな訳ない)
冗談にしてはからかうにも程がある
きっと笑わせようとしてくれただけなんだ
間違いないよね "絶対"
そんな淡い想いを抱きながら
[あ…はは…私が暗い顔してたからって]
[冗談も程々に…]
そう思いたかったのに
[…それはないわ]
[…あーしが言った通り…なの…]
彼女の瞳はきちんとこちらを捉え真っ直ぐ私を見つめてくる
愛おしそうに
慈しむように
私という存在を好きだと
[…ごめんなさい混乱させるつもりはなかったのだけれど]
[本当にあなたの気持ちは生半可じゃないわ]
私の髪をすくい口づけを落とされる
チュッと可愛らしい音を立てて
[あ…]
(無理)
もう混乱してしまって頭がやられている
これ以上私はどうすればいいの
誰かの想いを受け入れればこれは解決できるの
やめて
[……十亀のことは忘れなさい]
やめて
[あんたを幸せにできない男なんかやめたらいい]
[をそんな顔にさせて]
やめてやめてやめて
やめて
[あーしはを…]
[やめて!!!]