第5章 ※危機Ⅰ
[十亀条Side]
あの男がやったのか
邪魔が入るとは思っていなかったんだろう
イライラしているようだ
(なんであんたがイライラするのぉ)
訳が分からない
彼女にあんな事をしておいて
俺に刃物を向けて走ってきた
ちゃんが声を上げたようだったが
怒りで頭が真っ白になっていて声が聞こえない
とにかく一発喰らわせてやらないと気がすまなかった
こんな感情が芽生えるは初めてだ
全ての動きが遅く見える
刃物を叩き落とし最大限の力で男の腹に拳を入れてやった
[ぐ………が………]
地面に倒れる
こんなに遅いものかと思った反面
まだ足りない
まだ足りない
空腹な獣のようだ
食べても食べても満たされないようにまだ
ちゃんにあんなことをしといて許さない
ただで済むと思うな
どす黒い感情が湧き上がる
もっと苦しい目にあわせてやる
そう思っていた