第33章 決意Ⅰ
[十亀条Side]
[え……あ……!条くん……?]
ああ彼女の声だぁ
相変わらず鈴のように綺麗で清らか
(………ちゃん…)
またこうして聞けるなんて思わなかったから心の底から嬉しい
(会いたいよぉ)
やっぱり会いたい すぐにでも顔を見に行きたい
でもちゃんあまりにも急すぎてショートしてしまいそうだしそれは避けるべきかもなんて能天気に思っていると
忽然とある考えが浮かぶ
(………いいのかなぁ)
(これで)
謝ったからと言って前のような兄弟のような関係に戻れる訳でもない
それにちゃんはきっと俺と付き合うというのは考えられないだろう
優しいし律儀だから謝らなきゃと思って電話してくれたみたいだしぃ
(……………だったらぁ)
このまま離れたほうがいいかもしれない
それが彼女のためなんじゃないかって強く認識してしまう
これから先俺みたいなのと一緒にいたら大変かもしれない
(今更すぎるよねぇ)
あんなに強く息巻いていた癖に自分でも情けないほどウジウジしてる
鰐島に勇気づけられたのにぃ
(…ならもう)
(会わない…べきだねぇ…)
ただただ発するのはネガティブな言葉ばかり
俺と会うのはやめたらと言おうとしていたそんな時だ
[待って……!]
[違うの!]
(ちゃん…?)
まさか彼女が声を荒げるとは思いもしなかった