第4章 手乗りストライダーとの出会い
そうして私が覗き込んだのは、耐熱ガラスで出来たマグマの池がある飼育カゴ。そこにはストライダーがいた。
一見よくいるストライダーのように見えた。普通と違うのは手乗りサイズであるということだけ。
私はもう一度資料へ視線を落とす。そこにあるのはストライダーという名前だけであり、他は番号が割り振られているだけで愛称はない。研究所にいる生物に、愛称なんていらないのかもしれないが。
性格なども分かってはいないようで、空白だらけのプロフィール文に私は疑問を持った。普通のストライダーなら、わざわざこんな研究所にはいないはず。
ならなぜここにストライダーが? ともう一枚資料を捲って分かった。推定年齢は四十歳らしく、他のストライダーより長く生きているのが大変だからと高齢者の飼育者から譲り受けたのだと境遇が書かれていた。
私はここで気が付いた。この研究所でこのストライダーを預かった理由は、なぜこのストライダーが四十年間も長生きをしているのか、研究するために連れてこられたのだと。
運動機能や食欲の状況はまだ未確認とのことで、私はストライダーに、運動をさせてみることにした。