第1章 フォーチュンステーションへ
「君が、今日から飼育係に任命された新人くんだね?」
私はすっかり着慣れた白衣に身を包み、例の研究所──フューチャーステーションにやって来ていた。
「はい。田中サツキといいます」
私は記者としてではなく、見習い研究員としてそう名乗りながら会釈する。対する博士は小さく頷きながら、私に紙が何枚か挟めたクリップを渡して来た。
「それはこれから君にしばらく世話を見てもらう生命体についての資料だ」と博士は話続ける。「くれぐれも、研究所外で生命体についての話はしないように」
こう前置きをするということは、いよいよこの研究所の闇を見ることになるのだろうか。
私は二つの意味で緊張気味にそのクリップを受け取った。
「分かりました」