第37章 FRIENDS
リビングのローテーブルで宿題を広げるルフィとウタ。
「もう、英語きらーい」
と、突っ伏すウタ。
「後ちょっとだろう。頑張れ」
「英語わかんなくても生きていけるもーん」
スマホひとつでちゃちゃっと翻訳できる!と、唇を尖らせる。
書き取りをしているノートを確認したシャンクスが、おもむろに口を開いた。
「You can't know a lot of songs that way.」
「え?」
シャンクスが発した言葉に、頭にはてなを浮かべるウタ。
「You can't know a lot of songs that way.」
同じ英文をゆっくりとはっきりとした発音で再び言う。
「ソング、歌?キャントはえっと、can't...あなたは、知らない?できない?歌...の?ん?」
「『そんなんじゃたくさんの曲を知れないぞ』って意味だ」
歌うことが大好きなウタは、その言葉にムッと顔を上げた。
「そんなことないもん」
「でも英語ならその意味がわからないと、いつもお前が言う『歌の意味を歌う』ことはできないんじゃないか?」
俯いて少し考えたウタは、ふん、と鼻を鳴らして再び書き取りに取り組み始めた。
「教科書英文に飽きたなら、ビートルズでもカーペンターズでも聞いて、歌詞を聞き取って翻訳してろ」
教科書より勉強になるぞ、とシャンクスはソファで新聞を広げた。
「誰それ?」
鼻歌で歌うシャンクスに、ウタは、その曲知らない、と首を傾げた。
「聞いたことない」
「あるはずだ」
再び口遊むシャンクスに、キッチンで片付けをするジウがクスクスと笑った。
「シャン、だいぶ音外してる」
「え、」
あれ?と惚けるシャンクスに、ジウは可笑しそうにする。
「多分、シャンが歌いたいのって」
ジウはシャンクスと同じフレーズを口遊んだ。
「♪I’m on the top of the world looking down on creation And the only explanation I can find.じゃない?」
「あ、聞いたことある」
フンフンフーン♪、と続くメロディをハミングするウタ。
「♪I’m on the top of the world lookingだろ?」
「「違う」」
ウタとジウに音程を否定され、シャンクスはがっくりと頭を垂れた。
