第1章 *File.1*諸伏 景光*
「…ヒロくん」
「だから、受け止めて欲しい」
逢えなかった時間の想いも全て。
キミだけが出来ること、だから。
「私のことを知れば知るほど、幻滅するかもしれないよ?」
「それはお互い様。でも、それ以上にオレは凄く楽しみにしてる」
「…何を?」
「これから、雪乃と過ごせるたくさんの時間を。ありのままの色んなキミの姿を、表情を、感情を見て、傍で触れられることを」
「……バカ」
狭いバスタブの中で雪乃が振り返るなり、ぎゅっとオレを抱き締めた。
「好きだよ、雪乃」
「私、ヒロくんが大好き」
ふわりと互いに微笑んだ後、唇を重ねる。
そうして、オレと雪乃の、長い夜の帳が今下りた。