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《赤井夢》Happiness{R18}

第30章 救済




「美緒…?」

『赤井さん…本当に…ありがとうございます。』

「…何に対しての礼だ?」

『ふふっ、いえ。何でもないです。』

「…早く入れ、馬鹿。」



本当は何にお礼を言ってるか分かってるはずなのに
とぼける赤井さんが少し面白かった。


手を離すと赤井さんは脱衣所を出て行き
私はお言葉に甘えてシャワーを借りた。


額の傷にシャワーを当てるとかなり沁みて
髪を洗うのはすごく大変だったけど…


体をさっぱりさせたところでお風呂場を出てタオルで体を拭き
髪は後で乾かすことにして、ルームウェアを着てからリビングに向かった。





赤井さんもシャワーを浴びたのか
部屋着に着替えていて、いつも被っているニット帽もしていないままソファーに座っていた。






「手当するからこっち来い。」




赤井さんの隣に座ると、机の上に置いてあった救急箱から
ピンセットで白い綿球を掴み消毒液に浸して私の額の傷口に当てた。





『っ、痛い…』

「我慢しろ、すぐに終わる。」





額の傷は大きくはないけど抉れているような傷らしくて
割とズキズキと痛む。


ガーゼを貼ってもらい、私の手当てが終わったところで
今度は私が赤井さんの手当てをする事になった。






『少し顔が腫れてますね…
何で安室さんと喧嘩なんかしてたんですか?』

「…ちょっと、な。」

『もうあんなところで喧嘩したらダメですよ?
落ちたら2人とも死んじゃうところだったんですから…』

「向こうが先に殴りかかって来たんだ。
それに……俺は死ぬかもしれない恐怖よりも
あの時のお前の怒鳴り声の方が恐怖を感じたがな。」





…そんな意地悪なことを言う赤井さんにムカついて
顔の傷口に少し力を入れてガーゼを押し当てると
赤井さんは顔を少し歪めていた。





「っ……もう少し優しくしてくれないか…」

『自業自得じゃないですか…喧嘩してたのが悪いんです。』




ムスッとしながらそう言うと
赤井さんは私の頭を優しく撫でてきた。



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